いきなり大声を上げられて、挙句、心配して差し伸べた手を振り払われたその人は、怪訝な表情でわたしを見ている。


お互いに何も口には出さない、この空気が辛かった。


たすけて、だれか・・・たすけて、きぃくん。

このよく分からない状況で、少しでも動くと引き裂かれそうな空気の中、わたしは必死に心で願った。



「・・・ま、いいけど。早く帰んなよ、チビ」

「いや、チビって、絶対そんな子どもじゃないでしょー(笑)」

「いやいや、ご愛嬌ってやつだし」


・・・先に沈黙を破ったのは向こうのほうで、軽く暴言・・・トゲのない暴言を吐かれた。

そのままUターンで遠くのほうに行ってしまったけれど、わたしは未だにここから動けずにいる。


・・・怖くて、どうしたら良いかわかんなくて。

日々みんなの優しさに、あたたかさに、守られていたことを実感した。


何をどう遡っていったとしても、たどり着くのはあの日のきぃくんとの出会い。

あれが無ければ、わたしはわたしでいられなかったと思うから。


きぃくんのことを、わたしだって助けてあげたいと思った。

時々見せるあの切ない瞳も、自分に否定的なところにも、踏み込んでいったことはないけれど・・・


・・・わたしは彼の支えになれていたのかな。