〜〜〜♪
着信音が聴こえて辺りを見渡すと、ベッドの横で凜のスマホが鳴っている。
・・・凜が起きるだろ。
少し遠ざけようと思いスマホに手を伸ばすと、表示されている名前が目に入った。
《 白石 小雪 》
・・・白石?
その瞬間、この前妃菜が言っていた言葉が頭を過った。
『父親の女が会いに来た。白石の姓だったし・・・』
・・・これが凜に会いに来た女?
凜の人生を闇に染めた・・・父親の、再婚相手。
頼むからこれ以上凜を掻き乱さないでくれ。
「・・・んん・・・」
音に反応したであろう凜が、布団の中で身を攀じるから、俺は即座にそのスマホを回収。
マナーモードにして、机の上に置いた。
音が鳴らなくなってもなお、机の上で光り続けているそれに、無性に腹が立った。
もしかしたら凜は、ずっとあの女からの電話に脅かされているのかもしれない。
離れた今でも、その影に怯えているのかもしれない。
・・・コイツが、凜を・・・。
ようやく諦めたのか、画面から消えたその文字の下に現れたロック画面。
・・・俺たちが、文化祭で撮った、あの写真だった。