少しのあいだそのままで居たら、凜が眠いと言い出したから・・・再びベッドに寝かせて、俺は横に座る。

あっという間に眠ってしまう凜を見て、思うところは色々あったけど、早く回復して欲しいな。


暇すぎる俺は徐に立ち上がり、参考書が積まれている本棚に手を掛けた。



「看護師国家試験対策用・・・参考書」


国家試験を取るのは恐らく専門だか大学だかを卒業したあとな気がするけど、妃菜はそんなに先の勉強をしていたのか。

・・・偉いな。


その中から最新の参考書を手に取り、適当にパラパラと捲った。


・・・ところどころ父親の部屋で読んだ医療本と被っているところがある。

まぁ、俺には無理。



高校三年生の10月。

進路希望調査の紙には、毎回適当な大学の名前書いて、適当な学部を記入している。


推薦を取れるような何かを持っている訳でもないから、このまま行けば1月に行われる大学のセンター試験を受けることになるだろう。

何になるのかも分からないのに、そこで何かを学ぶことに意味があると思えない。


俺にも、なにか・・・見つかるのかな。

見つけたい。


自分の将来か考えたときに浮かぶのは、凜の姿。

・・・俺の生きる未来に、その姿は無い。



そんな中で俺は凜を近くに感じられるような、忘れないような何かをしていたいと思う。