ゆっくりドアのほうに目線をやると、そこにはいつものように腕組みをして目を閉じた先輩が、いた

やっぱり、かっこいい


顔を見たらやっぱり少し躊躇ってしまう

寝ているのに話しかけてもいいのか
無視されるんじゃないのか
忘れられてるんじゃないか

そんな考えがぐるぐると駆け回る


『おはようございますくらいいっても、ばち当たんないよ』

うみが言ってくれた言葉が頭で繰り返される
そうだ、せっかく背中を押してくれたもん
挨拶くらいなら


私は駅で止まったと同時につり革を離し、ゆっくり先輩の目の前に移動する