しばらくして感じた・・唇が重なる感覚
どんどん深くなるキス

大学時代、合コンで知り合った男となりゆきで一夜を共にしながら交わしたキスと似てるってどこか冷めた感覚が蘇り、唇を一瞬止めてしまった

それでも
スキになってくれた人をスキになるほうが幸せなんだと自分に言い聞かせて
今度は自分から八嶋クンの唇を求めた

それでも
変わらないどこか冷めた感覚


『んン・・・』


それを振り払おうとむさぼるように唇を動かすけれど
あたしの心からその感覚は消えてくれなくて

それに気がついたのか気がついてないのか八嶋クンは

「俺、そろそろ帰ります。このままだと高島先生を壊してしまうぐらいめちゃくちゃにしちゃいそうなんで。」

『・・・・・・・・・』

唇を自ら離した。


「酒が入った上での送り狼というのもカッコいいもんじゃないですしね。それに大事にしたいし。」

『・・・・・・・・・』

「でも、次は止める自信ないです。スキだから・・・・高島先生のことを。」


あたしの思い込みなのかもしれないけれど
八嶋クンのあたしに対する想いは真剣なんだ
そう思わせるような口調だった。


『なんで、あたしなんか・・・』

「生徒に対して真っ直ぐに向き合うとことか、人に気を遣いすぎちゃうとことか。」

『八嶋クン・・・・』


八嶋クンはソファーから体を起こし、少し緩んでいたネクタイを締め直しいつもの爽やかな笑顔を見せる。

その笑顔に吸い込まれそうになったあたしは未だに信じられない
いろんな人を惹き付けるこの人があたしのことをスキだということを