「池に落ちるなよ?」


直弘は美奈を気遣い、2人は手を繋いだ。


その光景に「いいなぁ」と、思わず声に出す。


「なに?」


知樹が不思議そうな表情を浮かべて振り向いた。


「う、ううん。なんでもない」


慌ててそう言い、知樹に近づいた。


「特になにもない池だな。あんな風に写ったのは強風とか、池に落下物があったからだろうな」


「あたしも、そう思う」


大きな池なら船が出ていたりして波も立ちやすい。


でも、この池ではそういうことはまずなさそうだ。


「そろそろ行こうよ」


寒気がとまらず、あたしはそう言った。