そのまま時は流れ、結婚式は無事に終了した。


晴れて妻と夫婦になった俺だったが……その頃にはすでに友江と連絡先を交換していたのだ。


業務用の番号ではなく、友江がプライベートで使っている番号だ。


最初、その番号を聞いた時さすがに友江は戸惑っていた。


客にプライベートな番号を教えたことなど、1度もないのだろう。


その真面目さが、余計に惹かれる要因となった。


遊びを知らない女が、自分の腕の中で乱れる姿を見て見たかった。


だから、俺は少し卑怯な手を使ったのだ。


「前に君に電話をしたけれど、出なかったじゃないか」


仏頂面をして、そう言ったのだ。


もちろん嘘だった。


結婚式の準備は順調に進んでいたし、友江に連絡を入れたことはなかった。


「も、申し訳ございません！」


俺に責められた友江は青ざめて頭を下げた。


自分の嘘を鵜呑みにして慌てている友江を見て、俺は心の底から楽しいと感じた。