高村直弘も、力では俺の方が強いからどうにかなりそうだ。


問題はサッカー部の畠山知樹だった。


こいつは毎日かかさずトレーニングをしているし、いい筋肉がついている。


もしも高村直弘と畠山知樹の2人がかりで抵抗されたら、勝てるかどうかわからなかった。


さっき駐車場で押さえつけられた時も、自分の力では起き上がることができなかった。


でも、1人ずつならきっとやれるはずだった。


そう考えていた時、不意に赤ん坊の声に混ざって女のおなり声が池から聞こえて来た。


友江か……。


生徒達は怯えて後ずさりをしている。


俺はジッと水面を睨み付けていた。


何度俺の前に出て来ようとも、結果は同じだ。


またあの時のように殺してやる。


友江がこいつらを引きずり込んでくれるのが一番いいと思ったけれど、その前に自分が友江に殺されていしまうかもしれなかった。


俺は舌なめずりをして水面の様子を見つめる。


さっきまでよく晴れていた空は雲に覆われて、今にも雨が降り出してきそうだ。


それは、あの時の天気によく似ていた……。