氷点下できみを焦がしたいのレビュー一覧
平均評価星数
5.0
2020/09/04 22:39
投稿者:
夢雨
さん
氷点下の真ん中に、ぬくもり
ミルクティー色のふわふわの髪、笑うと細くなる長いまつげの瞳、成績はトップで、おまけに生徒会長。 見た目も中身も文句なしの“学校の王子様”に、片想いをしている。 そんな彼の“本性”を知ったとき、恐ろしくて、失望して――そして、本当の恋が始まった。 『俺に理想ばっかり押し付けて』 冷たい声としゃべり方でそう言った彼を、最初に見つけたのが彼女でよかった。 決して激しい熱じゃない、臆病な温度で氷をゆっくり溶かしていく女の子でよかった。 ドラマチックな奇跡も、ありえないファンタジーも、鈍感すぎるヒロインも存在しない、等身大の恋のお話。 重なったいくつかの偶然と、誰かが誰かを想う気持ちと、ほんの少しの勇気が混ざって溶けた氷、その水たまりの真ん中で、最後はきっとやさしい気持ちを見つけられるはずです。 登場人物みんなまるごと抱きしめたくなるような、愛くるしいお話をありがとうございました。