……大切な人がいるって、分かってたけど。
言葉だけじゃなんだか実感がなくて。
なんだかんだ、私は永遠くんと仲のいい女の子になれてるんじゃないかって。
もしかしたら、もしかするんじゃないかって。
自分でも気づかないうちに期待してたんだなあ。
いざこの目で見たら、どうしようもなくそれは真実で。
永遠くんの本当の顔を知ってる女の子は、私だけじゃなくて。
あの子は永遠くんに名前を呼んでもらえるたった1人の女の子で。
あの子は永遠くんの腕に抱きついても許される女の子で。
それは私にはならなくて。
永遠くんは私を「羽瑠」って呼んでくれない。
永遠くんは私と文化祭でりんご飴を食べてくれない。
大切な子がいるって、そういうことだ。