「まあ、佐藤なんてよくいる苗字だし知らない奴も多いんじゃねえの?でも先生はみんな知ってるから、成績もキープしとかないといけないし」
「そう、なんだ……」
生徒会長も、そのために。
なんだか永遠くんは、私が思っていたよりもずっとちゃんとした人で。
そしてなんだか、遠く感じた。
「親父にとって、優等生じゃない息子なんて存在する意味ないからさ」
王子様みたいな、綺麗な笑顔。
垂れた目が細くなって、長い睫毛が頬に影を落として。白い歯が綺麗で、広角がきゅっと上がって。
……永遠くんの笑顔は、綺麗で、眩しくて、そして壊れてしまいそうなくらい苦しかった。
「──永遠くん!」
なんだかこのままじゃ、永遠くんが消えてしまうような気がして。
羽が生えて、飛んでいってしまうんじゃないかなんて思って。
とっさに彼の腕を掴む。
驚いたように笑顔を崩した彼が、私の真剣な顔を瞳に映す。