「──永遠くん、疲れてない?」
「……何、急に」
今日は、とても月が綺麗で。2人で並んで歩く影を、頼りない街灯がぼんやりと映し出す。
その影が、いつもより、なんだか近いような気がして。
初めて一緒に歩いた時よりも、近付けたような気がして。
この夜には、私たちふたりだけしかいないような気がして。
「あんなにたくさんの仕事、ずっと2人でやってたの?」
「まあ、そうだね。文化祭前は特に忙しいけどな」
「……永遠くんって、なんで生徒会長やってるの?」
お前には関係ないって、言われるかもしれない。
それでもなんだか今夜だけは、言われないような気がして。それは永遠くんがいつもより優しい顔をしていたから。