事が終わり、彼は優しく口づけをして、血のついた箇所を拭いてくれた。


「…俺さ…お前の事、好きだからしたんだ…」


「…うん」


「もっと早く、別の形で知り合っていたかったな…」


それは私だった。
なぜ、こんな風に私と彼は出会ってしまったのだろうか。

なぜ彼と私は、犯人と人質なんだ。


ぎゅっと抱きつくと、このまま時間が止まれば良いのにと思った。
彼が犯罪者でも、彼を愛してしまった。



「…時が、止まれば良いのに」


「そうだな…ずっと…こうしていたい」