葵羽ルート 2話「先生ではなく」
祈夜と別れた後。
彩華は少しだけ泣きそうになった。
それは同情なのだろうか。彩華はそうではないと思った。会ってまだ少ししか経ってないのに、ここまで彩華を大切にしてくれて、愛してくれた。その気持ちへの嬉しさだろう。そう思った。
彼の会った後はいつも手を繋いで駅まで帰っていた。けれど、今日は1人きり。
それが先ほどの出来事の意味を表しているようだった。
「寒いな…………」
彩華は独り呟きながらジャケットのポケットに手を入れてながら、家までの道をゆっくりと歩いた。
はぁーと息を吐くと、少しだけ白い息の形が見えたような気がして、明日子ども達に教えよう。そんな風に思ったのだった。
それから、数日後。
交換していた葵羽の連絡先からメッセージが届いた。
『以前食事に誘っていただき、その際はお断りしてしまったので、今度は私から誘わせてください。今度のお休みの日に私とお食事に行きませんか?』
と、葵羽らしい丁寧なメッセージが届いたのだ。彩華から連絡していいものなのか迷っていたので、彼からメッセージが来たので彩華は安心した。
「ぜひご一緒させてください。葵羽さんにお話ししたい事がありましたので、その時にお時間ください。楽しみにしています」
どんな文章にすればいいか悩みながら、そんなメッセージを送ると、すぐに既読になり『ありがとうございます。楽しみにしています。時間は後程連絡しますね』と返ってきた。
やはり年上の男性は落ち着いているなと関心しながら、彩華はまだまだ先の予定にすでに緊張してしまっていた。