7話「揺らぐ想い」




 家に帰ってからも、何通か祈夜とのメッセージのやり取りをしていた。
 「仕事帰りにでも飯食べに来て」とメッセージを貰い、彩華は「どうしよう………」と考え込んでしまったのだ。

 祈夜と出会ったのは休みの日で、かなり気合いを入れておしゃれをしていた。それを見て祈夜は「かわいい」と言ってくれたのではないか。そんな風に思ってしまったのだ。

 保育士は体力勝負の仕事なので、仕事終わりはいつもヘトヘトになってしまうし、メイクも薄いし、髪もただ1つに結んでいるだけだった。
 そんな状態で行ってもいいのだろうか。そんな事を考えて、彩華はハッとした。


 「べ、別に好きな人に会いに行くわけじゃないし。むしろ、行かなくてもいいんだよね……」


 そう思いつつも、次にいつ会えるのだろうか。そんな風に思ってしまう自分がいた。

 葵羽という気になる人がいるのに、少し雰囲気が悪くなったら、声をかけられた男に気持ちをすぐに変えるのか。
 そんな自分の気持ちの変化に気づき、彩華はため息が出るほど嫌な気分になった。