祈夜ルート 11話「変わってるな」



 何故か真っ赤になっている祈夜を彩華は不思議に思いながらも、テーブルに山のようにある少女漫画を1冊手に取った。
 ピンクの表紙に、目が大きくキラキラしている女の子と目付きの悪い黒髪で大人っぽい男性が微笑みあっている表紙が目に入った。いかにも少女漫画らしいイラストだった。


 「あ、この漫画家さんの面白いよねー!昔見てたなー、新刊出てるんだね。あ、こっちのも知ってる!ドキドキするよね?」
 「……………」
 「最近見てなかったけど、途中で見なくなった漫画の続きとか気になってきたかも。私も一緒に見ようかなー」
 「…………」
 「…………祈夜くん?どうしたの?」


 立ったまま、無言で彩華を見つめる祈夜の顔を覗き込む。すると、彼は驚いた表情でこちらを見ていた。まだ、ここで会ったのを驚いているのだろうか。
 彩華が不思議そうにしながら彼の返事を待つと、祈夜がゆっくりと口を開いた。


 「………驚かないのか?」
 「え?……そりゃビックリしたよ。偶然、こんな所で会えるんだもん」
 「そうじゃなくて………俺がこういう漫画読んでるの見てだよ!」
 「………あー少女漫画ってこと?」