祈夜ルート 3話「年下の彼」




 祈夜の住むマンションは、彼の兄の店からすぐの場所にあった。立派なマンションで彩華の住むアパートとは比べ物にならほどだった。
 そんな彼は驚く彩華には気づかずに慣れた手つきでエントランスにあるパネルに鍵を差し込みドアを開ける。


 「セキュリティはしっかりしてるんだけど、少し面倒なんだ。エレベーターでも鍵をかざさなきゃいけないし……」


 自分より年下で大学を卒業したばかりの彼がこんな豪華なマンションに住めるのはどういう事なのか。いろいろ考えてしまい、彩花はある考えに至った。
 そして、緊張した面持ちのまま彼とエレベーターに乗り込み、祈夜に聞いてみることにした。


 「あ、あの、祈夜くん?」
 「ん?何だ?」
 「質問なんだけど………もしかして、ここってご実家なの?」
 「なんでそうなるんだよ。恋人を、初めて家に連れ込むのに実家に連れていく奴いるのか?」
 「そ、そうだよね………」


 彩花は自分が考えすぎだとわかり、ホッとしつつも、じゃあ彼は一体何をしているのか?と思ってしまう。そして、考え込んだ彩華を見て、祈夜は面白そうに笑った。