葵羽ルート 18話「早起きのおしゃべり」
朝早くに目が覚める。
それは、いつもの事。保育士の朝は早い。夜空のままの明けの明星を眺め、白い息を吐きながら出ていく。布団から出るのも億劫になってしまう朝の寒さ。
けれど、今日は寒さは感じない。
それは隣りで小さな寝息を立ててぐっすりと寝ている葵羽のお陰だろう。それとも少しの気恥ずかしさのせいか。
間接照明のお陰で彼の寝顔が見える。安心しきった、よく職場で見る子ども達の寝顔と同じように見えて、彩華は微笑んでしまう。
朝起きて、隣り愛しい人がいる。
それがどんなに幸せな事か、初めて知った。
別の事で、布団から出るのが億劫になるな、と思った。
彩華は、もぞもぞと布団の中で、気だるい体を動かす。その感覚も嬉しくなる。
今、何時なのか。彩華は起きて時間を見ようとする。すると、「ん………」と言う、彼の声が聞こえる。彩華が振り返ると葵羽が目を擦りながら細い目でこちらを見ていた。