「天ちゃん、誰か来てるみたいだけど、誰なんだろうねえ?」
「来客なのかな?いや僕も全く意味が分からなくて…なんなんだろうね」
ふたりでそんな呑気な会話をして居間に戻った天満は――敷居の前で足を止めた。
目に入ったのは――朔の前に正座している若そうな娘の姿と、背後に控えているぽんだった。
ああこの娘さんがぽんが捜していた幼馴染というやつか、と思ったと同時に、強烈な既視感を覚えて、よろめいて柱に手を置いた。
「天満…来客だ」
朔にそう話しかけられてもその娘の後ろ姿から目が離せず、また暁も天満に縋るようにして抱き着きながら、その娘から目を離せなかった。
「雛乃、天様がお前を捜す手助けをして下さったんだぞ。ちゃんと自分でお礼を言え」
「う、うん」
――その声。
ずっとずうっと…夢の中でしか聞けなかった声を聞いた途端、天満はその娘が何者であるか、顔を見ずとも分かってしまった。
朔と雪男は、目をぶるぶるさせている天満を静かに見守った。
天満の反応を見て彼らは‟やはりそうなのだ”と悟り、それ以上声をかけるのを控えた。
「お初にお目にかかります…雛乃と申します」
雛乃が顔を伏せたままくるりと体勢を変えて天満の方に頭を下げた。
天満はただただ雛乃を凝視し、暁は手が真っ白になるほど天満の袖を強く握り続けて、小さな声でひたすら呟いていた。
「天ちゃん…天ちゃん…」
「あの…天様?」
足元まで来て二本足で立ち上がって足にちょんと触れて来たぽんにはっとした天満は、そこでようやく――雛乃に声をかけた。
「僕は…天満と言います。雛…雛乃さん」
雛乃の肩がぴくりと動いた。
天満の緊張を含みながらもやわらかな声にようようと顔を上げた雛乃は、初めてまともに天満の顔を見た。
「天…満…様……」
ふたりの心は同時に雷鳴に撃たれたかのような衝撃を受け、言葉もなく見つめ合った。
「来客なのかな?いや僕も全く意味が分からなくて…なんなんだろうね」
ふたりでそんな呑気な会話をして居間に戻った天満は――敷居の前で足を止めた。
目に入ったのは――朔の前に正座している若そうな娘の姿と、背後に控えているぽんだった。
ああこの娘さんがぽんが捜していた幼馴染というやつか、と思ったと同時に、強烈な既視感を覚えて、よろめいて柱に手を置いた。
「天満…来客だ」
朔にそう話しかけられてもその娘の後ろ姿から目が離せず、また暁も天満に縋るようにして抱き着きながら、その娘から目を離せなかった。
「雛乃、天様がお前を捜す手助けをして下さったんだぞ。ちゃんと自分でお礼を言え」
「う、うん」
――その声。
ずっとずうっと…夢の中でしか聞けなかった声を聞いた途端、天満はその娘が何者であるか、顔を見ずとも分かってしまった。
朔と雪男は、目をぶるぶるさせている天満を静かに見守った。
天満の反応を見て彼らは‟やはりそうなのだ”と悟り、それ以上声をかけるのを控えた。
「お初にお目にかかります…雛乃と申します」
雛乃が顔を伏せたままくるりと体勢を変えて天満の方に頭を下げた。
天満はただただ雛乃を凝視し、暁は手が真っ白になるほど天満の袖を強く握り続けて、小さな声でひたすら呟いていた。
「天ちゃん…天ちゃん…」
「あの…天様?」
足元まで来て二本足で立ち上がって足にちょんと触れて来たぽんにはっとした天満は、そこでようやく――雛乃に声をかけた。
「僕は…天満と言います。雛…雛乃さん」
雛乃の肩がぴくりと動いた。
天満の緊張を含みながらもやわらかな声にようようと顔を上げた雛乃は、初めてまともに天満の顔を見た。
「天…満…様……」
ふたりの心は同時に雷鳴に撃たれたかのような衝撃を受け、言葉もなく見つめ合った。