「何言ってるのよ、ここまで来たんだから、亜崎君の住んでいるところに決まってるじゃないの」
「ええ!」
「ええじゃないの、さっ行くよ。こっち? それともあっち?」
もう、那月さんのこの性格。僕には敵わない。最も彼女と戦う気持ちもない。戦う? いや、押されても嫌な気持ちにはならないところが不思議だ。
あのニッと、笑う顔をされると憎めない。憎めないどころか、可愛いとさえ感じてしまう。