そのあと僕らは店を出た。
少し後味はあんまりよくない。恵梨佳さんはあれから口数が減ってしまった。何だろう、何か思い詰めているような感じが伝わってくる。
「ねぇ亜崎君」
「はい」
「明日大学は朝からなの?」
「いいえ、昼すぎに一つ講義が入っているくらいです」
「そっかぁ、それじゃ。私の所で呑みなおさない」
「え、でも」
「いいの、明日私遅番だし、それに……、今夜は一人でいたくない」
すっと彼女の唇が僕の唇に重なった。
いきなりだったからびっくりしたが、その彼女の姿を見た時物凄く小さく感じた。このまま彼女を一人にしてはいけない様な……。
そんな気がした。