「大丈夫ですか?」
「うん大丈夫、大丈夫。大げさなのよね、額ちょっとすりむいたのと左手首の軽い捻挫だって。これでも私意外と石頭なんだからこんなのどうてことないわ」
「よかったですよ。大したことなくて」
「ごめんね、心配かけさせて。私、支配人に連絡してくるから」
カバンからスマホを取り出し、玄関の入り口のあたりでスマホを耳にかざした。
その姿を眺めるように見つめていると。
「きれいな人ね」
処置室から出てきた鶴見さんがそっと僕の耳元で言った。
「もしかして付き合っているの?」
「ち、違いますよ」
「慌てるところがちょっと怪しいかなぁ」にっこりと、ほほ笑んだ彼女の笑顔を見ていると何となく落ち着く気がする。
「はい、亜崎さんに渡しておきますね。診断書。会計は明日でないと出来ないのでそう伝えておいてくれますか」
「わかりました。お世話になりました」