「お客大変申し訳ありません」と、恵梨佳さんは即座に()びの言葉を入れ深く頭を下げた。
しかし、その男性客は真摯《しんし》に対応しようとしている恵梨佳さんに向かい、自分の感情をぶつけ始めた。

「俺たちよう、注文するまでの時間も大分待って、ようやく注文できたと思ったらよう、今度はどんだけ待っても一品も料理きてねぇんだよ。こっちゃぁ、腹減ってんからきてやってんのに、こんだけ待たされるといい加減切れちまうんだよ。わかるかい?」