「もーぅ、龍生くんってばからかわないでよー」

知らない女の子が龍生くんと歩いている。
2人で。

キレイなサラサラの長いストレートヘアを秋風になびかせて、その人は龍生くんの制服の裾を引っ張った。

龍生くんは優しい笑顔を向けて、言った。



「可愛い」




その瞬間、私の目から涙がこぼれ落ちた。


2人は幸せそうに微笑みながら、同じ建物に入って行く。
『☆☆美術専門予備校』と書かれた看板が光っている。


龍生くん……私、ここにいたよ。
そばにいたのに。


なんで?
なんでよ……。

心の中がぐちゃぐちゃになる。