どんなに悲しくても世の中は、私の気持ちを無視して回り続ける。


龍生くんが失くした私への恋心は、どこを探しても見つからない。
回り続けているうちに、消えちゃったんだ。



好き。
まだ、大好き。



でも。
だからこそ、龍生くんと別れよう。

あんな困った顔をした龍生くんを、もう見たくないから。
大好きな笑顔でいてほしいから。



駅に着いた私はケータイの画面を操作して、龍生くんと撮ったいくつかの写真を削除した。

「過去」にしよう。
何もかも。
龍生くんでさえも。

大丈夫、私ならきっと……。