スクール水着以外のものを買ったのは初めてだった。
昨日の夜、仕事帰りにめぐみに付き合ってもらい水着を買った。
めぐみからは、もっと胸元の開いたセクシーなやつにしなさいよと言われたけど、紺色に白のドット柄のセパレートタイプが限界。
グラマーなめぐみだったらいいかもしれないけど、貧弱な胸にはパット入りのタイプじゃないと無理。
それでも、スクール水着しか知らないわたしからすれば、十分に恥ずかしいレベルだった。
高校にはプールが無かったので、泳ぐのは中学校以来。
しかも、海で泳いだのは小学校五年生の夏が最後だった。
純平さんのマンションの前の砂浜に降りる階段へ向かう。
水着には純平さんの家の洗面所を借りて着替えた。
恥ずかしいから、海に入るまでTシャツと短パンを水着の上から身につけた。
純平さんはと言うと、海パンだけ履いて、上半身裸のまま。
彼の裸を見るのは今日が初めてだった。
金曜日の夜という事もあり、今日も数人のカップルが浜辺に来ていた。
海の中にも何人かの姿が見えた。
暗くて顔までは確認出来ないけど、何人かのシルエットは見えた。
「入ろうか?」
「うん」
夜なのに、昼間の太陽で温められた水は生ぬるかった。
「何だか怖い」
「水が黒く見えるからね」
「うん」
「大丈夫。わりと浅瀬なんだ、ここの海」
「そうなの?」
肩が浸かるくらいの深さまで来ると、浜辺のカップルも小さく見えた。
海に入っている人達も、ここまで来る人はいない。
みんなもっと砂浜に近いところで遊んでいる。
「清美」
「うん?」
彼の顔が近づいて来た。
月明かりの下、わたしは彼とキスをした。
マンションに戻り、海水でべたつく体をシャワーで流した。
夜なので日焼けの心配は無い。
こうしてシャワーを浴びても、ヒリヒリする事も無かった。
夜の海水浴。
ちょっとハマってしまいそう。
「お先しました」
彼から借りたバスタオルを巻いた。
柔軟剤のいい香りがする。
「さっぱりした?」
「うん」
「それじゃ、俺も入って来るよ」
「うん」
冷蔵庫からよく冷えた水を取り出し、グラスに注いだ。
「美味しい……」
彼が戻る前に洋服に着替えた。
そして、バッグから携帯を取り出した。
めぐみ、今頃何してるかな?
メッセージを送るとすぐに返事が来た。
今日は家族と食事に出ているらしい。
今度、めぐみも海に誘おうか。
そう言えば……
めぐみに約束したんだ。
腕の傷の事、そして過去のわたしの事を話さなきゃ。
「あー、すっきりした」
腰にバスタオルを巻いただけの彼が戻って来た。
「お水飲む?」
「ああ」
グラスを出して氷を入れる。
そこに水を注いだ。
「サンキュー」
ごくごくと音を立てて彼の喉に吸い込まれていく水。
本当に美味しそうに飲むんだね。
その飲みっぷりに見とれてしまった。
純平さんは、何をする姿もカッコいい。
「あれっ? もしかして今、俺に見とれてた?」
確信をつかれ、またあまのじゃくになりそうだったけど、今日は素直に思いを伝えよう。
「純平さん、カッコいい」
「えっ? ちょっとどうした? 素直過ぎてドキッとしたよ」
「ねえ、今日泊まってもいい?」
「俺はいいけど、家に連絡した?」
「まだ」
「だったら電話しなよ」
「うん」
家に電話を掛けるとお母さんが出た。
純平さんの所に泊まりたい。
そう告げるといいよって言ってくれた。
さすがにお父さんには直接聞く事が出来ず-----絶対反対する-----お母さんから言ってもらう事にして電話を切った。
「どうだった?」
「いいって」
「泊まるんだったら、明日の朝早く起きて、ちょっと遠くまでドライブしない?」
「いいわね」
「よし、そうと決まれば今から寝よう」
「ちょっと待ってよ、まだ十時よ」
「いいからいいから」
彼に手を引かれ、ベッドに横たわる。
彼もそのままベッドに潜り込んで来た。
「ちょっと、服着ないの?」
「必要無い」
えっ?
ちょっと。
いきなりわたしの上に身を翻した純平さん。
そのままゆっくりとキスを落とす。
「そんなに硬くならないでよ」
そんな事言われても……
「かわいい……」
どうしよう。
ドキドキが止まらない。
彼がおでこにキスを落とした。
それから今度は鼻の頭に。
そして、唇。
しばらく唇を合わせた後、今度は首筋にキスをされた。
何だかくすぐったいような、ぞくっとするような変な感じ。
えっ?
キスを続けながら、気が付けば服の上から胸を触られていた。
えっ?
えっ?
何だか催眠術にでもかかったかのように、わたしは服を脱がされてしまった。
そして、彼も腰に巻いていたバスタオルをベッドの下に落とした。
彼は、わたしの足を広げると、その間に体を移動させる。
今度は裸の胸を揉まれ、その先を舌で転がされた。
体に走る、今まで味わった事のないような感覚。
と同時に、下半身が熱くなる気がした。
初めてなのに、これが感じるという事?
やがて、わたしの大切な部分に彼が入って来た。
話には聞いていたけどやっぱり痛い。
だって、こんな所に何かが入って来るなんて事、生まれて初めてなんだもん。
彼の体がゆっくりと上下する。
「大丈夫?」
「うん……」
痛いとは言えなかった。
言ったら彼が離れて行きそうで。
多少痛くても、彼とひとつになりたかった。
彼の温もりを肌で感じていたかった。
やがて彼の動きが激しくなり、微かなうめき声と共に崩れ落ちた。
わたしの上にびったりとくっつき動きを止める彼。
呼吸はまだ荒く、その動きが直に伝わって来る。
「清美……」
「うん?」
「愛してる」
「わたしもよ」
わたしの中から出て行った彼は、仰向きになるとしばらく目を閉じていた。
わたし、あなたとひとつになったんだね。
初めての時は痛くて怖いと思ってたけど、全然そんなじゃなかった。
あなたとひとつになれて幸せだった。
こんな経験が出来るなんて。
生きてて良かった。
高校生の時は、将来に希望など無かった。
いじめが一生続くような気がしていた。
だけど違ったんだね。
頑張って生きていたら、こんなに幸せな時間が訪れるんだね。
あの時命を絶っていたら、そこでわたしという存在は消えてたんだもんね。
「清美? 何考えてる?」
「わたし、生きてて良かった」
「そうだよ。死んだら何にも無くなるんだよ。辛い目に遭った分だけ、いつか必ず幸せになれるんだから。清美にとっては、今がそうかな?」
「ええ。純平さんと出会った事がわたしにとって一番の幸せ」
「そう思ってもらえて俺も嬉しいよ。絶対君を悲しませたりしないからね」
「うん」
彼の腕枕で、わたしはすぐに眠りに落ちた。
昨日の夜、仕事帰りにめぐみに付き合ってもらい水着を買った。
めぐみからは、もっと胸元の開いたセクシーなやつにしなさいよと言われたけど、紺色に白のドット柄のセパレートタイプが限界。
グラマーなめぐみだったらいいかもしれないけど、貧弱な胸にはパット入りのタイプじゃないと無理。
それでも、スクール水着しか知らないわたしからすれば、十分に恥ずかしいレベルだった。
高校にはプールが無かったので、泳ぐのは中学校以来。
しかも、海で泳いだのは小学校五年生の夏が最後だった。
純平さんのマンションの前の砂浜に降りる階段へ向かう。
水着には純平さんの家の洗面所を借りて着替えた。
恥ずかしいから、海に入るまでTシャツと短パンを水着の上から身につけた。
純平さんはと言うと、海パンだけ履いて、上半身裸のまま。
彼の裸を見るのは今日が初めてだった。
金曜日の夜という事もあり、今日も数人のカップルが浜辺に来ていた。
海の中にも何人かの姿が見えた。
暗くて顔までは確認出来ないけど、何人かのシルエットは見えた。
「入ろうか?」
「うん」
夜なのに、昼間の太陽で温められた水は生ぬるかった。
「何だか怖い」
「水が黒く見えるからね」
「うん」
「大丈夫。わりと浅瀬なんだ、ここの海」
「そうなの?」
肩が浸かるくらいの深さまで来ると、浜辺のカップルも小さく見えた。
海に入っている人達も、ここまで来る人はいない。
みんなもっと砂浜に近いところで遊んでいる。
「清美」
「うん?」
彼の顔が近づいて来た。
月明かりの下、わたしは彼とキスをした。
マンションに戻り、海水でべたつく体をシャワーで流した。
夜なので日焼けの心配は無い。
こうしてシャワーを浴びても、ヒリヒリする事も無かった。
夜の海水浴。
ちょっとハマってしまいそう。
「お先しました」
彼から借りたバスタオルを巻いた。
柔軟剤のいい香りがする。
「さっぱりした?」
「うん」
「それじゃ、俺も入って来るよ」
「うん」
冷蔵庫からよく冷えた水を取り出し、グラスに注いだ。
「美味しい……」
彼が戻る前に洋服に着替えた。
そして、バッグから携帯を取り出した。
めぐみ、今頃何してるかな?
メッセージを送るとすぐに返事が来た。
今日は家族と食事に出ているらしい。
今度、めぐみも海に誘おうか。
そう言えば……
めぐみに約束したんだ。
腕の傷の事、そして過去のわたしの事を話さなきゃ。
「あー、すっきりした」
腰にバスタオルを巻いただけの彼が戻って来た。
「お水飲む?」
「ああ」
グラスを出して氷を入れる。
そこに水を注いだ。
「サンキュー」
ごくごくと音を立てて彼の喉に吸い込まれていく水。
本当に美味しそうに飲むんだね。
その飲みっぷりに見とれてしまった。
純平さんは、何をする姿もカッコいい。
「あれっ? もしかして今、俺に見とれてた?」
確信をつかれ、またあまのじゃくになりそうだったけど、今日は素直に思いを伝えよう。
「純平さん、カッコいい」
「えっ? ちょっとどうした? 素直過ぎてドキッとしたよ」
「ねえ、今日泊まってもいい?」
「俺はいいけど、家に連絡した?」
「まだ」
「だったら電話しなよ」
「うん」
家に電話を掛けるとお母さんが出た。
純平さんの所に泊まりたい。
そう告げるといいよって言ってくれた。
さすがにお父さんには直接聞く事が出来ず-----絶対反対する-----お母さんから言ってもらう事にして電話を切った。
「どうだった?」
「いいって」
「泊まるんだったら、明日の朝早く起きて、ちょっと遠くまでドライブしない?」
「いいわね」
「よし、そうと決まれば今から寝よう」
「ちょっと待ってよ、まだ十時よ」
「いいからいいから」
彼に手を引かれ、ベッドに横たわる。
彼もそのままベッドに潜り込んで来た。
「ちょっと、服着ないの?」
「必要無い」
えっ?
ちょっと。
いきなりわたしの上に身を翻した純平さん。
そのままゆっくりとキスを落とす。
「そんなに硬くならないでよ」
そんな事言われても……
「かわいい……」
どうしよう。
ドキドキが止まらない。
彼がおでこにキスを落とした。
それから今度は鼻の頭に。
そして、唇。
しばらく唇を合わせた後、今度は首筋にキスをされた。
何だかくすぐったいような、ぞくっとするような変な感じ。
えっ?
キスを続けながら、気が付けば服の上から胸を触られていた。
えっ?
えっ?
何だか催眠術にでもかかったかのように、わたしは服を脱がされてしまった。
そして、彼も腰に巻いていたバスタオルをベッドの下に落とした。
彼は、わたしの足を広げると、その間に体を移動させる。
今度は裸の胸を揉まれ、その先を舌で転がされた。
体に走る、今まで味わった事のないような感覚。
と同時に、下半身が熱くなる気がした。
初めてなのに、これが感じるという事?
やがて、わたしの大切な部分に彼が入って来た。
話には聞いていたけどやっぱり痛い。
だって、こんな所に何かが入って来るなんて事、生まれて初めてなんだもん。
彼の体がゆっくりと上下する。
「大丈夫?」
「うん……」
痛いとは言えなかった。
言ったら彼が離れて行きそうで。
多少痛くても、彼とひとつになりたかった。
彼の温もりを肌で感じていたかった。
やがて彼の動きが激しくなり、微かなうめき声と共に崩れ落ちた。
わたしの上にびったりとくっつき動きを止める彼。
呼吸はまだ荒く、その動きが直に伝わって来る。
「清美……」
「うん?」
「愛してる」
「わたしもよ」
わたしの中から出て行った彼は、仰向きになるとしばらく目を閉じていた。
わたし、あなたとひとつになったんだね。
初めての時は痛くて怖いと思ってたけど、全然そんなじゃなかった。
あなたとひとつになれて幸せだった。
こんな経験が出来るなんて。
生きてて良かった。
高校生の時は、将来に希望など無かった。
いじめが一生続くような気がしていた。
だけど違ったんだね。
頑張って生きていたら、こんなに幸せな時間が訪れるんだね。
あの時命を絶っていたら、そこでわたしという存在は消えてたんだもんね。
「清美? 何考えてる?」
「わたし、生きてて良かった」
「そうだよ。死んだら何にも無くなるんだよ。辛い目に遭った分だけ、いつか必ず幸せになれるんだから。清美にとっては、今がそうかな?」
「ええ。純平さんと出会った事がわたしにとって一番の幸せ」
「そう思ってもらえて俺も嬉しいよ。絶対君を悲しませたりしないからね」
「うん」
彼の腕枕で、わたしはすぐに眠りに落ちた。