天気予報は最近、面白くないくらい よく当たる。
授業が終わるころ、薄暗くなった空から、
たまらず雨が落ちだした。
軽い筋トレだけの部活を終えた柚季は、
靴をはきかえていた。
人気のない昇降口に、かすかな雨音がきこえる。
雨がひどくなる前に帰りつけるかな。
しゃがんだひょうしに、カバンから鍵が落ちる音。
あ、やばい。
外ポケットに入れてたから。
うつむいた視界に
拾ってくれる手が見える。
「ありが」
見上げた先に
五十嵐がいた。
一気に体温があがって、心臓はうるさい。
今から部活みたいで、五十嵐は練習着姿だ。
「・・ありがとう」
もっと普通に言いたかったのに、
やっぱり小声しか出ない。
鍵を受け取ろうと手を差し出す。
何とか、普通の顔はできてるかも。
ちゃんと目はみれないけど。