「あっぶねえなあ。
お前考えてしろよ。ケガするって」
固い胸骨が頭の後ろに当たってる。
隙間もないほど、そばに五十嵐がいる。
顔が熱くて、動けない。
「ん?」
「大丈夫か?」
反応のない柚季を、五十嵐がのぞき込む。
じっと 柚季を見つめ
「これ以上ないっていうくらい、
真っ赤なんですけど」
五十嵐が面白がって言う。
「へえ。こんな弱点があったとはねえ」
「うるさっ。離せ」
こいつ面白がってる。
慌てる柚季。
でも五十嵐の腕はびくともしない。
すっぽりと五十嵐の腕の中にいることが恥ずかしくて
振りほどこうとするのに。
ずるい。
こんな時に男の力見せるなんて。