五十嵐の、柚季には思いつきもしないような
逆からの発想に
柚季は、キョトンとした表情のまま。
そうなの?
そういうもん?
素直に思う。
トン。
軽く 五十嵐が柚季の手に触れる。
「キスっつたって、触れてるだけなら。
口だってだけで、これと何がそんな違うんだよ」
のぞき込んでくる五十嵐の視線に心臓が跳ねる。
近いし。
まつげ長っ
イケメンの破壊力やばい。
「うるさい。屁理屈言うな!」
突然、勢いよく振り出した柚季の手が
横にある机に、積み重ねられていた椅子に
当たりそうになる。
咄嗟に、五十嵐が後ろから柚季をかばうように
抱きしめる形で防いだ。
心臓が聞いたことのない音をたてる。