学校に着いて、教室の前。
廊下の真ん中で涼ちゃんの姿を見つけた。

おはようって言いかけてやめる。

昨日の名前を知らないどこかのクラスの女の子が、涼ちゃんとケータイ片手に話していた。

きっと連絡先の交換をしているんだ。


そう思ったら胸の奥がモヤッとした。
そのうえ涼ちゃんの楽しそうな横顔が、また私をイラッとさせる。

「涼平のどこがいいんだか、わかんねー」
教室の廊下側の窓が開いている。
クラスメートの男子の、見下したような声がした。

「こんな奴のどこが『カッコイイ』のか、誰か教えてくれよ〜」
ギャハハッと品のない笑い声が重なる。

あれ、なんか涼ちゃん。
男子から反感買ってるよ……。


「それじゃ涼平くん、また連絡するからね」
女の子はそそくさとその場を離れた。