ヘンリーの手に鎖を巻きつけたのは、谷に落ちたはずの空音だった。青いドラゴンの背中に乗り、魔法を放っている。

「地下にある宝物庫にこの人の心臓があるわ!それに攻撃をすればこの人を倒せる!!」

空音がそう言い、ヘンリーが「やめろ!!なぜお前がそれを!!」と初めて慌て始める。星彦たちは驚き、「え、空音生きてる?」と呟いた。空音は呆れたように笑う。

「理由は後で説明するわ!今はこの人を倒すのが先!!」

「お、おう!」

星彦たちは返事をし、宝物子へと向かう。背後からはヘンリーのもがく声と、空音が魔法を放つ声が聞こえていた。

素早く星彦たちは移動し、厳重に鍵がかけられた扉を開ける。中には山積みにされた金貨や、世界のあちこちから奪ったのであろう宝玉や王冠がある。

「ウィリアム、イライジェ!これってあたしたちの故郷のものじゃ……」

マルゲリータが、宝の中からエメラルドで飾られた立派な剣を取り出す。ウィリアムとイライジェも「俺たちの故郷の剣だ!」と目を輝かせた。

「……よかったですね」

星彦がそう言うと、透が「心臓ってこれのことか?」と宝箱を見て言っている。宝箱の周りを星彦たちは取り囲み、中を除く。ドクドクと脈打つ心臓が置かれていた。