ガチャッ
亜蓮「ただいま〜」
あの後、とりあえず解散という形になった。
それに…桃香。
あいつは初めて見ただろうな、柚の怒った姿を。
柚香「…おかえり」
亜蓮「ん、ただいま」
元気ないなぁ…桃香があいつらにいったら…とか考えてるのだろうか。
でも…明日からは休みだしな。
亜蓮「柚、明日デート行かない??」
柚香「え…?いいの?」
亜蓮「もちろん、最近行けてなかったし…仕事も学校も休みじゃん?」
柚香「…そうだね」
亜蓮「嫌?」
嫌じゃないだろうけど…
柚香「…私が行かないと思う?」
亜蓮「ううん、思ってない」
柚香「…楽しみにしてるね」
そう言って柚はルンルンと部屋に向かって行った。
亜蓮「…なにあれ、可愛すぎだろ…」
柚香side
亜蓮「柚ー?終わった?」
柚香「うん、ごめんね、行こう?」
今日は久しぶりのデート。
多分私を元気づけようと思っているんだろう。
その気遣いが嬉しい。
今日は何もかも忘れて楽しもうと思う。
私はとびっきりのオシャレをしてデートへ出かけた。
亜蓮「可愛いね、似合ってる。」
柚香「そう?嬉しいな。」
さすがに、柏木柚香とバレないような格好をしているけれどオシャレはしたい。
彼氏には可愛いって思われたいし…
亜蓮「じゃあ行こうか、行きたい所はある?」
柚香「…特にないけど…」
亜蓮「けど?」
柚香「…お揃いのものが欲しい…かな」
お揃いのもの。
今更、と亜蓮は思っているのだろうか。
でも不安なんだ。
桃香に亜蓮が取られちゃうんじゃないかって。
あの時はとりかえす、なんて言ったけど…自信が無い。
だから…せめて形に残るものが欲しい。
亜蓮side
柚香「…お揃いのものが欲しい…かな」
お揃いのもの、ねぇ…
亜蓮「もちろん、柚が欲しいものは俺が全部あげるよ」
きっと不安なんだろう。
そんな事ないのに。
でも不安に思ってくれるぐらい俺が好きならそれはそれで嬉しい。
だから俺は柚の不安が無くなるまで…いやなくなっても柚を満たしてあげる。
だからそんな目をしないで?
最後じゃないんだから。
俺は柚が俺を嫌いになったって絶対離さない。
あの時、柚が言ったように柚が他の奴に惚れても奪い返す。
それは俺も同じだから。
今まで柚が俺を満たした。
だったら今度は俺の番。
覚悟して、ね?
柚香side
亜蓮「もちろん、柚香の欲しいものは全部俺があげるよ」
沢山貰ってるのに…昔は誰かに必要とされることだけで嬉しかったのに…欲張りになったなぁ。
柚香「ふふ、ありがとう」
依存…しているのかもしれない。
依存しているのなら、私はダメになるかもしれない。
でも今更、亜蓮なしで生きられるのだろうか。
依存しても…ちゃんと私を愛してくれるんだろうか。
時々、すごく不安になる。
亜蓮「じゃあどこのお店にする?」
でも、亜蓮は今の私を愛してくれるから。
変わらない愛なんてないかもしれないけれど。
私は亜蓮の愛を信じる。
柚香「んー…じゃあ、いつものところにする?」
いつものところというのは、milkyというお店だ。
オシャレな雑貨屋でカフェにもなっているので気に入っている。
よく二人で行く所。
亜蓮「だね、じゃあ行こうか。」
あぁ、幸せだなぁ。
ずっと…この時間が続けばいいのに。
亜蓮「…どれにする?」
私達は今、お揃いにする物を選んでいる。
柚香「亜蓮に選んで欲しい…な。」
亜蓮がくれるものならなんだって嬉しい。
亜蓮「じゃあ、これは?ピアス、開けてたよね?」
柚香「…かわいい!」
亜蓮が選んだのは赤い薔薇のピアス。
ピアスの穴は亜蓮に開けてもらった。
自分で開けるのは怖かったんだよね。
亜蓮「赤い薔薇の花言葉…知ってる?」
柚香「花言葉…?」
あ、確か赤い薔薇の花言葉は…
亜蓮「あなたを愛していますって意味。」
柚香「…亜蓮…」
嬉しいなぁ…
亜蓮「喜んでくれた?」
柚香「もちろん!私は…亜蓮に赤い薔薇を99本あげたいなぁ…」
もし99本の薔薇をあげられるなら私は絶対誓うよ。
亜蓮「っ…可愛すぎ。ここが人前じゃかったら襲ってたよ?」
柚香「お、襲っ?!ば、ばか!」
恥ずかしいじゃない…
亜蓮「じゃあ今日は帰ってイチャイチャでも…」
柚香「んーん、私先帰る!恥ずかしいこと言った罰!」
ふふっ、幸せ。
今日は機嫌がいいからご馳走作っちゃうもんね!
亜蓮「え?!ちょ、柚!」
私はルンルン気分で帰った。
だから私は知らなかった。
亜蓮が呟いていた言葉を。
亜蓮「ふふ…永遠の愛…か。可愛すぎる…俺は柚に1本の薔薇を送るよ。」
俺には…柚しか居ないから、ね?