「そう言ってたじゃん!」
「覚えてねーよ笑」

相変わらず響いてくる、三本と菫ちゃんの声。

でも私は、それよりも、川崎がいないことが気になっていた。
いつもなら、なにかと絡んできたのに。

川崎と話せないことが、こんなにも寂しいのは何故だろう。

「……花葉?聞いてる?」
「えーっと、ごめん。何の話だっけ?」
「……」

若葉はなにかを考えるように、窓の外を見つめる。
私は特に理由もなく、手元を見ていた。

教室はざわざわと騒がしいのに、私の耳にはなにも届かない。
そんな、沈黙を破ったのは予鈴だった。

「予鈴鳴ったし、もどるね?」
「あ、うんっ!またね。」

若葉はハッとしたように微笑んで手を振ってくれる。

なんだか、いつもより寂しく感じる教室を後にして、私は自分の教室に戻った。