それから2時間ほど経った、8時前。

電話がかかってきた。

私は、なんとなく嫌な予感がしながらも受話器をあげた。

「もしもし、信条です。」
「えっと…信条花葉さん…でしたよね?」
「はい。」

相手の声の震えを感じ、無意識に声が震えてしまう。
私は震えを飲み込むように、唾を飲み込んだ。

「その…6時30分頃、天が…」

そこで声が泣き声に変わった。
5分ほど時間が過ぎた。

「……すみません…信条さんは、最後まで天といてくれて、私に連絡もしてくれて…本当に感謝しています。通夜などの日程の連絡は、またのちにさせていただきます。」
「……そう…ですか……ご丁寧にありがとうございます。」

私はそう、震える声で言ってから受話器を置いた。