「お母さん、まだ産まれないのかなぁ・・。ハァハァ・・痛すぎて死んじゃうよ・・」
「大丈夫よ。女は強いんだから」

陣痛が始まってから、かれこれ１０時間以上が過ぎた時だった。

「あぁ・・！！痛い！！」
「もうそろそろね」

お母さんは、そう言うとナースコールを押した。
すぐに三上先生達が来て、モニターなどが運び込まれてくる。

「冴島さん、ちょっと足開きますよー」
「先生・・赤ちゃんもう産まれますか・・？」
「子宮口がもうだいぶ開いてきているので、ここで産んじゃいましょう」
お母さんは、すかさずあたしの手を握ってくれた。

「冴島さーん。私の合図で大きく息を吸ってくださいねー」
あたしは、先生の合図で何度か息を吸ったり吐いたりする。
「はい、いいですよー。ちょっと休みますね」
その間に看護師さんが、あたしの背中をゆっくりさすってくれる。