「あぁ。覚えていてくれたんだな。今はなんだかすっげー好きかな・・。母さんが俺を捨てた海が憎くてどうしても許せなかった。だけど、考えてみれば母さんとの唯一の想い出の場所は、ここしかなかった。憎んでも憎みきれなかった母さんが、俺の誕生日に毎年メッセージ付きで何かしらプレゼントを贈ってくれてさ・・。そのことが、すっげー嬉しくてさ・・。俺も少しは愛されてたんだなーって。こんなこと言うのは恥ずかしいけどさ、俺・・母さんと父さんの子供に生まれてこれて幸せだったよ・・」

そう言って流星は笑った。
その笑顔は、作り笑いでも強がりでもなくて、本当に自然だった。
そして、とめどなく流星の目からは涙が伝う。
あたしは、それを優しく拭った。

「流星は、もう一人なんかじゃないよ。あたしが傍にいるから。流星が辛くて心が壊れそうな時は、あたしが流星を抱きしめてあげる。流星が苦しくて泣きたい時は、あたしがその涙を優しく拭ってあげる。だからもう一人で悩まないで・・。あたしはちゃんとここにいるから・・」

あたしは強く・・強く流星を抱きしめた。
いつかの日に、流星があたしを優しく抱きしめてくれたように。
今度はあたしの番だね。
あたしが流星を支えてあげなきゃ・・。