夏休みが終わり、

まだ、暑さが残る9月、

新学期がスタートした。




「いってきまーす。」



誰もいない家に、

それだけ言うと

私は、

休み明けの重い体を引きずり、

玄関を出た。




久しぶりの教室に着くと、

ザワザワしていた。



まあ、

1ヶ月ぶりに皆に会えるわけだしね。



「おはよう。宮本さん。」




「あ、おはよう。」




近くの子に、

あいさつの返事をして

自分の席に着く。



あーぁ、

また、

今日から学校が始まるのか。

メンドイなー


「はぁーー。」


私が、

大きなため息とともに

机につっぷしたら、

肩をポンと叩かれた。




「ちひろ!おはよう!
今日は、一緒に行けなくてゴメン。」



元気な声。

顔を確かめなくても

声で分かる。

きいちゃんだ。




「おはよう。久しぶり。
今日は、じゃなくて
今日も
一緒にいけなかった
の間違い。

まあ、いいよ。

きいちゃん
どうせ2度寝して
電車乗り遅れたんでしょ。」




「おろ。バレた?
今日は、いつもより早く起きれたの!

だから...。」





「はい、はい。
だから、もう一回寝ても
大丈夫だと思ったんでしょ?

もう、その言い訳、
聞きあきたってば。」



「むー。」




彼女は、宮下きい

通称きいちゃん

宮下と宮本で

出席番号が前後だったこともあり、

入学式の日から仲良くしてくれた

私の1番の親友なんだ。




「ところでさ、
ちひろ、知ってる?」




「何を?」




「今日、うちの学校に
転校生が来るんだって!

高校生で
転校なんて珍しいよね~。」




きいちゃんは、

ぐいっと顔を近づけ、

声を小さくして言った。



「で、
むちゃくちゃイケメン。

あれは、ヤバイね。
女子のハートわしづかみだよ。」



「ふーん。

でも、よく知ってるね。
転校生が来るなんてこと。」





「ふっふっふ、

宮下きいの
情報網なめないで頂きたいね!」




きいちゃんが、どや顔をする。




「なーんて、
さっき、ギリ遅刻になって
遅刻届け持って
職員室入ったら、

見慣れない顔が並んでたから...

気になって、先生に聞いたの。」




「そしたら、なんと!なんと!!...」




きいちゃんが、

今から

重大な発言を

しようとしたとき...




ガラガラガラー




突然、ドアが開き

私たちの担任の

小林先生が入ってきた。




「おう。

皆、夏休み楽しく過ごせたかー?
チャイム鳴ってっから、
席つけよー。」




きいちゃんは、

話はこれからが面白いのに...

と、ほっぺを脹らませ

自分の席に戻っていった。