私に話しかけてきたのは、クラスで1番仲がいい男子の川瀬 陽斗(カワセ ハルト)。川瀬とは、出席番号が前後なことで仲良くなり、2人で映画に行ったりもする。このせいで付き合ってる疑惑とか流されて、初めは大変だったけど、今では皆も理解してくれていて良好な関係を築いている。
「川瀬、髪切ったろ〜」
「あ、そうそう、今日生活検査やもん」
「初耳なんだけど、」
「友達おらんけん仕方ないやん」
「まじうるさ〜」
他愛もない会話をしながら、荷物を置いて席につく。横を見ると今日も空っぽの机。
いつになったら来るんだろう、そんなことを考えながら横を見つめる。‘澤田 雄一’横の席の人の名前。顔なんて知らないし、どんな人かも勿論知らない。入学式からずっと来てない人。

「始めるぞー」
担任の声で皆は、バラバラと席につく。
1時間目なんだっけな〜と時間割を見るために後ろをむくと、川瀬の変顔。
「まじやめて」
川瀬の変顔をぼかして、時間割にピントを合わせ