「あのさ、こんなこと今言うのは違うかもしれないし、そういう問題じゃないって野坂は言うかもしれないけど、」
「うん」
「この前、近所のスーパーで、先生にたまたま会った。久しぶりだし、何より突然だったしで驚いたけど。あっちも俺の名前とか覚えていて、それで、少し話したんだけど」
「.......うん」
「いきなり休んでごめんね、って言ってたのと、今違う仕事見つけて、頑張ってるって言ってた。.......笑ってたよ。元気そう、だった」
「.......うん」
「だから、野坂、」
「うん、」






「ーーー大丈夫、かもしれない」






私はじっと、眞島くんを見つめる。

髪の襟足を触りながら、言葉を結んで私におくる眞島くんを。


違う。



正確には、眞島くんの襟足にふれる指先を。


じっと、見る。