そっと榊さんの手が離れていく。
何故かその事に少し寂しさが残って……もう少し繋いでいて欲しい。
「あのっ……もう少しだけ……」
そう言って榊さんの手を掴む。
自分が恥ずかしいことを言っているのはわかってるけど……。
それよりもこの温もりが離れていくのが怖いっ……。
なかなか返事がない……。
あぁ……迷惑だったな……。
「やっぱいいでーー」
訂正しようとしたけど……反射的にギュッと言葉を呑み込んだ。
スっと指に絡めてくる暖かい手……。
「っ……ありがとう……ございます」
再び繋いだ手に力を込めた。
そうすると榊さんも優しく握り返してくれる……。
「へぇ……夏目がそんなことするなんてねぇ……意外だなぁ」
優斗さんは繋がれた手を面白いものを見たとでも言うように
ニヤニヤし、変な口調で私たちを見つめてきた。
「優斗……てめぇ」
「はいはい…分かったよ。それより柚莉ちゃん、これ」
「……これって」
「クソ野郎共が潰したから新しいの」
渡された袋に入っていた私がいつも飲んでいる薬。
「……あの…ありがとうございます」
「うん……あのさ…聞いていいのか分からないけど、それって
発作を止める薬だよね?それも結構強めの……」