「……だって、工くんと一緒にいられないなんて嫌だ!!」

心臓のあるあたりが、まるで発作を起こした時のように痛む。寂しくて、悲しくて、悔しくて、私は泣いた。

泣き続けるお母さんをお父さんが病室の外に連れ出し、お医者さんも「ゆっくり考えて」と私に言って出て行った。途端に病室は静かになる。ここは私しかいない個室だから。

「そうだ……。絵を描こう……」

手術をする前など不安な時、私は絵を描いて緊張を誤魔化していた。今だって、綺麗な青空が見えている。きっと綺麗な絵が……。

「あっ……」

スケッチブックを広げ、シャーペンを持った刹那、手が震えてシャーペンを落としてしまった。拾おうとするけど、手は震えたままシャーペンを掴むことができない。

「……何で……」

私は絵を描くこともできず、泣き出してしまった。



結論が出ないまま、二日ほどが過ぎた。時間なんてどうでもいい。残された時間が少ないのなら、それに大人しく従うべきなのかもしれない。

半ば、自暴自棄になっている気がする。でも工くんと離れるくらいなら、日本で死んだ方がいい……。