「俺は沙絵の事、人として好きだよ。リスペクトする部分は沢山ある。だけどそれは夫婦じゃなくても良い関係だよね?」
「……そうね。」
「…申し訳ないけど、俺はもう沙絵を女性として妻として心から信じて愛せる自信が無い。」
私は動揺しながらコーヒーを口に運ぶ。
「沙絵の答えが離婚を選択してくれる事を願っていたよ。変な話しだけど円満離婚を希望したかった。だけど沙絵の考えはまるっきり違うものだったね。」
…リコン?
…りこん?
…離婚?
なんで?離婚に結びつけるの?
浮気したわけじゃないし、むしろアナタの為にやってたのに!!
私は斗真の変な落ち着いた態度と口調に震え上がるほどの怒りがこみ上げてきた。
「…ねぇ、なんですぐ離婚って考えになるの?確かに私は斗真を理由に妻としての役割を疎かにしちゃってたと思う。それは本当にごめんなさい。だけどそれで愛情が無くなる?浮気とかならまだしも、全部全部斗真に見てほしくてやったのに…斗真に認めてほしくて、斗真に愛されたくて…なのに酷いよ!そんな薄っぺらい関係だったの!!」
話し始めたら止まらなくなって、言わなくて良かったこともあっただろうに…
一通り言い終わったあとに後悔がこみ上げてきたが、後の祭りだ。。
「…言いたいことは全部言えたか?」
私が意気消沈していると、斗真が最後の一口のコーヒーを飲み干し静かに私に話しかけてきた。