「君はさ!友達って、いる??」
突然少女が口を開いた。
「居ないよ。」
僕は即答した。
悩むことも無い。
だって居ないんだから。
誰もが居ると言う親友なんて以ての外だ。
僕の容姿や性格から、そんなことは分かりきっているはずなのに。
わざわざ聞く意味が分からない。
それにも関わらず、少女は会話を続けた。
「私も居ないんだ。友達。」
え?
こんな明るい少女に、友達がいないのか?
天真爛漫で、希望に溢れた少女に。
少女のことを何も知らないのに、不思議と僕は有り得ないと思った。
「人間じゃない友達なら、いっぱい居るけどね!!ここは自然が豊かだから、リスさんとか、コグマさんとか!」
少女は雲ひとつない空のようなすっきりとした笑顔で言った。
僕はそんな少女を見ていられなくなった。
だって、そんなの友達じゃないじゃないか。
感情も何も無く、ただ欲求のままに動いているだけの生物が、〝友達〟なのか?
話もしない生物を友達だと思っている少女が、僕には寂しく思えた。
「どうしたの??」
やめてくれ。
お願いだからそんな笑顔で見てくるなよ。
僕は悲しい少女を見ることが苦しくて、その場から逃げ出したくなった。
「そんな奴のことを友達だと思ってんのか?笑見苦しくて見てらんねぇよ笑」
どれだけ最低な奴なんだろう。
いっそ死ねばいいのに。
僕は外へ飛び出した。