キーンコーンカーンコーン。
終業を告げるチャイムが鳴り響く。
「稜ちゃん!!一緒に帰ろう!」
「うん!」
私は琹ちゃんと手を繋ぎ、学校を出た。
これで、一緒に帰れるのも最後か。。
琹ちゃんが引っ越すことを知ってもう一週間。
早いなあ。
私は憂鬱な気分で、隣を歩いていた。
「ねぇ、稜ちゃん。」
琹ちゃんは急に真面目な顔をして立ち止まった。
「どうしたの?琹ちゃん♪」
私は笑って問い掛けた。
「何でお前が生きて!!私が死なないといけないの!!?」
「えっ?」
私は驚いた。
琹ちゃんのそんな必死な顔を見たことが無かったから。
〝琹ちゃんが死ぬ〟ということの意味がよく分からなくて、私は呆然としていた。
「...だって、全部...全部お前なら良かったのに!!生きてる意味も無い癖に!!」
私はハッとした。
自分の中で、全てが一転したような気がした。
そういうことか。
生きる意味の無い私が生きてるなんて、可笑しいもんね。
「ごめんね。琹ちゃん。じゃあ、私死ぬよ」
私は狂ったかのように笑い、ナイフを取り出して自分に突き刺した。
「え...?」
琹ちゃんは呆然としていた。
「ごめん、そういうつもりじゃ...!」
ーは?
此奴、今更何言ってんだよ。
お前が〝死ね〟って言うから僕は僕を刺したんだよ。
「何言ってんの??どうせ死んで欲しかったんだろ??あの優しさは、嘘だったんだろ??どん底から助けようとした優しさは。〝ずっと一緒〟って言ったじゃねえか。なのに、お前が死ねだって?お前は僕を裏切った。それでも死ぬなって言うのか??なあどうなんだよ、?」
僕は正気を失い、無意識に声を荒らげていた。
可笑しくなっていく自分を、歪んだ自分を止められなかった。
「ごめんなさい!!、ごめんなさい!!!」
狂ったかのように謝り続ける琹を見ていると、僕は良い気分になった。
僕が強いということを示せば良かったんだ。
そうすれば虐められなかったんだ。
僕も死ぬから、お前も死ね。
「アハハハハ!!ギャハハハハハ!!!」
僕は鞄に入れていたカッターナイフを取り出し、不穏な笑いを響かせながら琹の方へ詰め寄った。
「や、めて...!おね、がいします、!!」
いい気味。
カッターナイフを振り下ろそうとした瞬間、僕は意識を失いかけた。
そっか。
僕、今刺されたんだ。
僕は目を見開いて倒れた。