「話って、何??」
琹は自分で作ったと言うハンバーグを食べながら、僕を真っ直ぐ見詰めて聞いた。
「まず食事の手を止めろ。」
「えー、、力作だし温かいうちに食べたいよー、話聞くだけならご飯食べながらでも良いじゃん!」
大事な話をしたいのに。
調子乗りやがって。
「おい、ちゃんと話を聞けよ!」
僕は気付けば大声を上げていた。
「ご、ごめんね」
迫力に驚いたのか、震えながらナイフとフォークを置いた。
「じゃあ、教えて」
僕は琹を真剣な眼差しでじっと見つめ、口を開いた。
「じゃあ、話すよ。」
「うん。」
「単刀直入に言う。君は僕を知っているよね?」
「...うん。」
やっぱりか。
僕は正直驚かなかった。
「そっか」
琹の答えに動揺すること無く、僕は言葉を続けた。
「僕は黒川稜で、君は茅野琹だろう?僕は君を〝琹ちゃん〟って呼んでた。」
「そう言えば、あなたが口にしていたことがあった気がする」
「僕は君の親友だった。あのときまでは。」
その瞬間、琹は青ざめた。
多分、現実を受け止められていないのだろう。
「何で、、覚えてるの...?」
「思い出したからだよ。君が閉じ込めた記憶を」
急に琹は吐き始めた。
食べたモノを吐いた後、ひたすら胃液を出し続けた。
「稜、ちゃんは...わ、私の親友でっ...」
琹がその場に崩れるように倒れ込み、呟く。
「そう、僕は、〝あの〟稜だよ」
「死んだ、はずじゃ、!?」
琹はそこで意識を手放した。