そう言って荷物を持った。



「じゃあまた後でな」



雪に笑顔を向けて楽屋を出た。



雪の誘いを断るのはもったいないけど、
今日は久しぶりにちゃんと昼休みが
とれた日。



だから指輪を見に行きたかったんだ。



スタジオから出た俺はバイクを走らせて
香奈さんに教えてもらった店に向かう。










店を教えてもらった時、一緒に行こうか?
って香奈さんに言われたけど、
横でぐちぐち言われると思い断った俺。



でもやっぱり、一緒に来てもらえば
良かったかも…。



店に入ってすぐにそう思った。



こういうとこ来たの初めてでなんか変に
緊張する。



少し挙動不審になりながらも指輪の
コーナーに足を運んだ。



雪に似合いそうな指輪…
どんなのがいいんだろう。



「何かお探しでしょうか?」



綺麗に並べられた指輪を見ていた俺に
声をかけてきた店員さん。



「えっと…指輪を」



「指輪ですね。
こちらいかがでしょうか?」