「それは分かるけど…だからなんで?」



「雪、カレー作る途中だったみたいだし
お前も腹減ったろ?」



そういえば…。



「俺も腹減ったし。おかゆ作ったかわりに
カレー食って帰るわ」



「あっそう。どうぞお好きに」



俺はコーヒーをカップに注いで
ソファーに座った。



しばらくしてカレーは完成。



「いただきます」



「どうぞ…」



高嶋の作ったカレーだから
食う気はないけど……腹減ってるし…。



そう思って一口。



「…うまっ!!」



「当たり前」



自慢げに話す高嶋。



「なんでお前料理できるんだ?」



軽い気持ちで聞いたつもりが
高嶋からかえってきた言葉は、



「…俺、母親いないから」



うつむいてカレーを口に運ぶ高嶋。



「父親も出張やら単身赴任やらでなかなか
家に帰ってこないんだ。
だから、今は1人暮らし」