「それは…おめでとうございます。
けどなんで…」



「Sevenは何年も続いている雑誌だ。
橘プロダクションがSevenの全てを
経営するようになるずっと昔から。
そして昔からモデルの質はまったく
落ちていない。
そしてその中でもずばぬけた才能と容姿。
スター性に人をひきつける魅力。
俺が出逢った中では橘香奈ただ1人。
そしてこの先も出逢えるはずないと
思ってたけど…今目の前にいる」



そう言って雪を見つめる渡部さん。



「あ…あたし?」



「スカウトから2ヶ月。
モデルでもないし関係者でもない君が
こんなに長い期間Sevenのスタジオに
出入りなんて普通はありえないんだよ?」



「…はい…すいません」



「けど…そこまでしても
手に入れたいんだ…俺も滝も。
これがどういうことか…
そろそろ分かるべきだ」



「…けどあたし…そんなすごい人じゃ…」



「それは自分で決めることじゃないよ」



「え…」



「それよりも…雪ちゃんには
もっと大事なことがある」



大事なこと?



「やる気だよ」



「やる気…」



「モデルをやりたいかどうか。
この世界に入る勇気があるかどうか…」