一気に静まり返る空気。
今まで怒っていたはずの智紘先輩もなぜか急に黙り込む。
「──ごめん」
不意に先輩が、ポツリと呟いた。
「え… 智紘先輩?」
が、なんで謝るんだろう…。
急におとなしくなったかと思えば、しゅん…と一回り小さくなった身体。
「春香ちゃんが他のやつと話してるってだけでも嫌なのに、ましてや頭を撫でられるなんて…」
「他のやつ…って、お友達の大和先輩ですよ?」
「それでも嫌なもんは嫌なの。いくら俺の友達だからといって、あんなに心を許すのは絶対にダメだから」
先輩、わがままだ……。
って、わたしべつに………
「心を許してるわけじゃないんですけど…」
大和先輩がいきなり勝手にしたことなのに…。