「ふーん。お礼、ねぇ……」


今までの出来事を全て説明してみても、納得した様子はなく、むしろムスッとした感が増しているような気がする。


「それ春香ちゃんがわざわざ大和のとこ行く必要はなかったんじゃない?」

「え…?」

「べつに俺を経由しても良かったじゃん」


話し方はいつもの感じに戻っているはずなのに、まだオーラが違う気がするのはムスッとしたままだから。


「で、でも、お礼はやっぱり直接…したかったので…」


先輩が何を怒っているのか分からないけど、お礼は誰かに頼んでするものじゃないと思うから。



「なんかむかつく」


「えっ……智紘先輩…?」

「しかもさぁ、さっきのあれは何? なんで頭撫でられてんの?」

「…そ、それは、知りません」


頭を撫でられたのだっていきなりだったし、さっきのあれが何だったのか聞きたいのはわたしの方だ…。